「低迷」は個人の弱さではない——職場のウェルビーイングとキャリア支援

「最近、仕事に張りがなくて」——燃え尽きているわけではない、けれど、いきいきともしていない。面談でこうした状態を語るクライエントは少なくありません。
米イリノイ大学ギース経営大学院が2026年に発表した調査(米国の働く人2,000人対象)は、この状態を数字で示しました。米国の労働者の61%が、活力を失った「低迷状態」にあるというのです。働く人の半分以上が、辞めるほどではないが元気でもない状態にある——燃え尽きのような目立つ不調ではないだけに見過ごされがちですが、これは特別な誰かの話ではなく、働く人の多数派の話だということになります。
この調査でもうひとつ注目したいのが、環境による差です。裁量を持って仕事を任されているチームでは68%の人がいきいきと働けていたのに対し、放置された環境では10%にとどまりました。同じ調査の中で、これだけの開きが出ています。
ここから、キャリア支援に引きつけて言えることが2つあります。
1つ目。低迷は、本人の弱さや怠けの表れとは限らないということです。 面談で「やる気が出ない自分はだめだ」と自分を責めるクライエントに対して、環境の側にも要因がありうるという視点を差し出せます。任されているか、放置されていないか、支えはあるか——仕事の中身だけでなく、働く環境のありようを一緒に眺めることで、相談の景色が変わることがあります。
2つ目。企業の領域で活動するキャリアコンサルタントにとって、組織に働きかける根拠になるということです。 面談で個人を支えるだけでなく、「任せ方」や「支える体制」が働く人の状態を分けるという知見を、人事や経営層との対話に持ち込む。個人への支援と組織への働きかけの両輪が回ったとき、キャリア支援は職場のウェルビーイングに届きます。
もちろん、これは米国の調査であり、雇用の仕組みも働き方も日本とは違います。数字をそのまま日本に当てはめることはできません。それでも、「低迷は環境によって変わりうる」という視点そのものは、国を問わず面談で役に立つはずです。
出典:University of Illinois Gies College of Business(2026年調査)
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