若い世代のキャリア相談——価値観の違いを前提に

二十代のクライエントと向き合うとき、経験を重ねたキャリアコンサルタントほど、自分が歩んできた道を無意識の物差しにしてしまうことがあります。「石の上にも三年」「まずは目の前の仕事を」——こうした言葉は、私たち自身が支えられてきた実感かもしれませんが、いま目の前にいる人が生きている状況は、私たちの若い頃とは違います。価値観の違いを、正すべきものではなく、前提として受け止めるところから関わりが始まります。
違いを前提にするとは、若い世代を「今の子は」と一括りにしないことでもあります。仕事に何を求めるか、働き方に何を望むかは、世代というより一人ひとりで異なります。「最近の若い人は安定志向」といった見方を持ったまま面談に入ると、その人自身の言葉が耳に入らなくなります。目の前の人が何を大切にしているのかは、その人に聞くしかありません。
若い世代の相談では、まだ経験の蓄積が少ないぶん、自分の希望を言葉にしきれていないことも多くあります。ここで私たちが答えを与えてしまうと、その人が自分で考える機会を奪ってしまいます。急いで方向を示すより、「やってみて、どう感じたか」を一緒に振り返り、経験を意味づける手伝いをする。その積み重ねが、その人が自分の物差しを育てていく支えになります。
年長者として伝えられる知恵があるのも事実です。ただそれは、押しつける知識としてではなく、「私はこう考えてきたけれど、あなたはどう思いますか」と、対話の材料として差し出すもの。世代の違いは、埋めるべき溝ではなく、互いに学び合える幅なのだと思います。
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