初回面談で目標を一緒に決める——主訴の受け止め方

初回面談でクライエントが最初に口にする訴え——いわゆる主訴を、私たちはどう受け止めているでしょうか。「転職したいんです」「この先が不安で」。最初の一言は、その人が話しやすいかたちに整えて差し出したものであることが少なくありません。だからこそ、最初の言葉をそのまま面談の目標にしてしまうと、後になって「本当に話したかったのは別のことだった」というずれが生まれます。
主訴を受け止めるときに大切にしたいのは、急いで課題に翻訳しないことです。「転職したい」と聞いた瞬間に、私たちの頭は求人や職務経歴の話へ動き出しがちです。けれどその前に、「今日はどんなことをお話しできたらいいと思って来られましたか」と、来談の願いそのものを尋ねてみる。この一問が、表に出た訴えの奥にある気持ちに触れる入り口になります。
面談の目標は、キャリアコンサルタントが決めるものでも、クライエントが決めるものでもなく、二人で置くものです。「今日の時間で、ここまで一緒に考えられたら」という到達点を言葉にして共有しておくと、面談の途中で話が広がっても、立ち返る場所ができます。目標を共有する行為そのものが、クライエントに「この時間は自分のためにある」という感覚を渡します。
もう一つ心にとめたいのは、目標は動いてよいということです。話すうちにクライエント自身の中で問いが変わっていくのは、むしろ面談が働いている証です。最初に置いた目標に縛られず、「さっきは転職のお話でしたが、いま伺っていると、今の職場での関係のほうが気になっていらっしゃるようにも聞こえました」と、変化を一緒に確かめ直す。主訴を受け止めるとは、最初の言葉を大事にしながら、そこにとどまらずに一緒に歩き出すことなのだと思います。
キャリラボ——本紙の発行元が運営する、学びと練習の場所
キャリアコンサルタントをめざす方と有資格者のためのサイトです。学科・論述・面接の練習、講義動画、セミナーや相互のロープレ練習会まで。国家資格・技能検定2級/1級に対応。登録はメールアドレスだけ・1分で完了: