面談記録の書き方——後で自分を助けるメモとは

面談記録を「書かなければいけないもの」として負担に感じている方は少なくないと思います。所属先に様式があればそれに従うことになりますが、ここでは様式の話ではなく、「後で自分を助ける記録とは何か」という観点から考えてみます。
記録が働く場面は、大きく2つあります。次回の面談の準備と、自分の支援の振り返りです。この2つに効く記録には、共通の要素があります。
まず、クライエントの言葉を、いくつかそのまま残しておくことです。 「もう歳だから、と何度もおっしゃっていた」「『家族はたぶん反対しない』という言い方をされた」——こうした生の言い回しは、要約した記述よりも多くのものを保存してくれます。次回の面談前に読み返したとき、その場の空気ごと思い出せるのは、たいていこの部分です。
次に、事実と自分の見立てを分けて書くことです。 「転職を迷っている」は事実に近い記述ですが、「自信が持てないでいるようだ」は支援者の見立てです。混ぜて書くと、後で読み返したときに、クライエントが語ったことと自分が感じたことの区別がつかなくなります。見立ての欄を分ける、あるいは見立てには印を付ける。書き方は何でもよいのですが、区別だけは崩さないことをおすすめします。読み返す未来の自分は、書いた日の自分ほど文脈を覚えていません。この区別は、未来の自分への申し送りでもあります。
そして、次回に向けた申し送りを一行書くことです。 「次回は家族の話題に触れられそうか、様子を見る」「今回聞けなかった職歴の後半を伺う」。未来の自分への短い手紙のつもりで書いておくと、面談と面談の間が数週間空いても、続きから始められます。
書く時間は、面談直後の数分を確保するのが理想です。記憶は思いのほか早く薄れ、翌日にはクライエントの言い回しの細部が抜け落ちます。長く書く必要はありません。数分で書ける分量を、面談のたびに必ず書く。量よりも、続けられることを優先したいところです。生の言葉、事実と見立ての区別、次回への一行。この3つがあれば、記録は義務ではなく、自分を助ける道具になります。
なお、記録は守秘の対象そのものです。決めた場所に保管する、名前の書き方をあらかじめ定めておくなど、扱いの決まりごとも記録の書き方の一部です。保管の実務については、稿を改めて考えます。
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