支援者自身の学び直しとAI——毎日10分の練習相手という使い方

面談の技能は、使わなければ鈍ります。分かってはいても、練習相手を確保するのは簡単ではありません。勉強会は月に一度、ロールプレイの仲間とは予定が合わない——資格を取ってから練習の機会がめっきり減った、という声は、多くの有資格者から聞かれる悩みです。
そこで提案したいのが、対話型のAIを「毎日10分の練習相手」にする使い方です。
たとえば、こんな練習ができます。AIに「キャリア相談に来た相談者の役をしてほしい。転職を迷っている40代の会社員という設定で」と頼み、短いやり取りを始めます。相手の発言に対して、自分ならどう応じるかを実際に言葉にして打ち返す。10分と区切れば、昼休みや寝る前にも収まります。
問いかけの練習に絞る方法もあります。ひとつの発言——たとえば「今の仕事を続ける自信がないんです」——に対して、自分の応答をいくつも作ってみて、AIに「それぞれの応答が相談者にどう届く可能性があるか」を尋ねる。正解を教わるためではなく、自分の応答の幅を広げるための練習です。
毎日10分という区切りには意味があります。月に一度の長い練習よりも、短くても毎日続けるほうが、応答の引き出しは開きやすくなります。ハードルが低いから続き、続くから積み重なる——学科の学習と同じ理屈が、技能の練習にも当てはまります。練習した日付とひとこと(今日は気持ちの言葉を拾えた、今日は質問が続いてしまった、など)を書き留めておくと、積み重ねが目に見えて、続ける張り合いにもなります。
ただし、思い違いをしないことも大切です。AIとの練習は、人との練習の代わりにはなりません。前の記事でも述べたとおり、感情の機微や沈黙、その場の関係の中で起きることは、AIが再現しきれない領域です。AIとの10分は一人でできる基礎練習と位置づけ、人とのロールプレイやスーパービジョンという実践の場と組み合わせて、はじめて生きてきます。
相手がいないから練習できない、という言い訳が立たなくなった時代。毎日の10分を、ご自身の研鑽に足してみてはいかがでしょうか。
※本紙発行元が運営するキャリラボでは、AIを相手にした面接ロールプレイの練習ができます。
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