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相談の技術

沈黙は「破る」ものではなく「読む」もの——面談のなかの沈黙をどう扱うか

現場のキャリア支援📖 約2分で読めます2026年7月17日 公開(第2号

面談のなかで沈黙が訪れたとき、居心地の悪さから先に言葉を足してしまう——経験を積んだキャリアコンサルタントでも、疲れている日や時間が押している日には起こります。まず確かめたいのは、その発話が誰のためのものか、という点です。沈黙を破る言葉の少なくない部分は、クライエントのためではなく、沈黙に耐えられない支援者自身のために発せられています。

沈黙をひとくくりに「待つべきもの」と考えるのも正確ではありません。実務のうえでは、沈黙をおおまかに3つに見立てると扱いやすくなります。

1つ目は、考えている沈黙です。 直前の問いかけがクライエントの核心に触れたとき、人は黙って自分の内側を探します。視線が下がる、目が一点に止まる、口を開きかけて閉じる——こうした様子が見えたら、それは面談が深まっている時間です。ここで支援者が言葉を足すと、クライエントの内側で進んでいた作業を中断させてしまいます。応じ方は、待つこと。体感では長く感じますが、時計の上では数十秒です。

2つ目は、困っている沈黙です。 問いかけが抽象的すぎた、二つのことを一度に聞いた、クライエントの言葉づかいと離れた言葉を使った——問いが受け取れずに困っている沈黙は、考えている沈黙とは表情が違います。視線がこちらに戻ってくる、困ったような笑いが出る、といった様子が手がかりです。このときに必要なのは待つことではなく、問いを引き取ることです。「いまの聞き方が、わかりにくかったですね」と自分の側に引き取ってから、短く言い直します。

3つ目は、迷っている沈黙です。 言おうかどうか迷っている、話してよい相手かどうかを測っている沈黙です。組織内の面談では特に、この沈黙が増えます。上司との評価面談と、キャリアの面談との区別がクライエントのなかでついていない場合、「これを話したら人事にどう伝わるのか」という警戒は自然なものです。ここで内容を促すより先に、この場の扱いを言葉にします。「ここで話されたことを、私からどこかに伝えることはありません」——守秘の枠組みをあらためて口にすることが、沈黙への応答になります。

待ったあとに面談を再開するときの一言も、準備しておく価値があります。おすすめしたいのは、沈黙の中身そのものを尋ねる言葉です。「いま、どんなことが頭を巡っていましたか」。沈黙の時間に起きていたことは、多くの場合、その面談でいちばん扱う価値のある素材です。

自分が沈黙をどれくらい待てているかは、自分では正確にわかりません。機会があれば、ロールプレイや面談の録音(クライエントの同意があるもの)を振り返り、沈黙が生まれてから自分が話し出すまでの秒数を数えてみてください。「待ったつもり」の沈黙が数秒だった、という発見は、経験年数にかかわらず珍しくありません。

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