沈黙との付き合い方——数秒の静けさが面談を深くする

面談の途中でクライエントが黙り込む。数秒の静けさが流れる。この時間が苦手だという声は、経験の浅い方からも、長く実務を続けている方からも聞かれます。「何か言わなければ」と焦り、質問を継ぎ足してしまった経験は、多くの支援者が持っているのではないでしょうか。
けれども、沈黙には種類があります。まずここを分けて考えてみたいのです。
1つは、クライエントが考えている沈黙です。 こちらの問いかけを受けて、自分の気持ちや経験を探している時間。視線が下や斜め上に動き、表情がわずかに変わる。このとき、クライエントの内側では大事な作業が進んでいます。ここで支援者が言葉を足すと、その作業を途中で止めてしまいかねません。クライエントが自分の言葉を見つけようとしている最中は、支援者の出番ではないのです。
もう1つは、行き場を失った沈黙です。 何を話せばよいか分からない、問いの意味が取れなかった、話したくないことに触れられた——そうしたときの沈黙は、表情のこわばりや視線の泳ぎ方に表れることが多いように思います。この場合は、支援者の側から「いまの質問、分かりにくかったかもしれませんね」と声をかけ直すことが助けになります。問いを言い換える、話題を少し戻す、といった小さな修復で、面談は流れを取り戻します。
つまり、沈黙が生まれた瞬間にすることは「埋める」でも「耐える」でもなく、「どちらの沈黙かを見る」ことです。考えている沈黙なら待つ。行き場を失った沈黙なら助け船を出す。同じ数秒でも、応じ方は逆になります。
待つと決めたときの過ごし方にも、小さな工夫があります。心の中で急かさず、クライエントの表情や姿勢をやわらかく見ていること。腕時計や記録用紙に目を落とさないこと。沈黙のあとに出てくる言葉は、それまでの言葉より一段深いところから出てくることが少なくありません。「……やっぱり、本当は辞めたくないんだと思います」——そうした言葉は、静けさの後にやってきます。支援者が待てた数秒は、クライエントにとって「ここは急かされずに考えてよい場所だ」という体験にもなります。
沈黙を怖れなくなると、面談は静かに深くなります。今日の面談で数秒の静けさが訪れたら、まず一呼吸。そこから始めてみませんか。
キャリラボ——本紙の発行元が運営する、学びと練習の場所
キャリアコンサルタントをめざす方と有資格者のためのサイトです。学科・論述・面接の練習、講義動画、セミナーや相互のロープレ練習会まで。国家資格・技能検定2級/1級に対応。登録はメールアドレスだけ・1分で完了: