「AIで仕事がなくなる」への冷静な答え方——クライエントの不安に向き合う

「AIで自分の仕事はなくなるのでしょうか」——面談でこう問われたとき、どう応じるか。根拠のない励ましも、不安をあおる相づちも、支援にはなりません。手がかりになるのは、確かめられた事実です。
ILO(国際労働機関)は2026年7月8日、生成AIが東南アジアの労働市場に与える影響についての分析を発表しました。域内で生成AIの影響を受けうる職業に就く人は雇用全体の22.9%、およそ8,000万人にのぼります。ただし、影響が最も大きい層は3.3%にとどまり、報告は、大規模な雇用喪失は現時点で確認されていないと明記しています。あわせて、影響の大きい職業に就く割合は女性が男性の2倍以上という偏りも示されました。
この数字の読み方が大切です。「影響を受けうる22.9%」は「なくなる22.9%」ではありません。仕事の一部のやり方が変わりうる、という意味です。現実に起きているのは、仕事が消えることよりも、仕事の中身が変わることだ——これが、現時点で国際機関が確認している事実です。あわせて、女性への偏りは、事務の仕事に就く方の相談を受ける機会が多い支援者にとって、頭に置いておきたい点です。
では、面談ではどう応じるか。
まず、不安そのものを受けとめます。 事実を示す前に、不安に感じていることを否定しないこと。不安には理由があり、それを話せたこと自体に意味があります。数字を先に持ち出して安心させようとするのは、順番が逆です。
次に、事実を一緒に眺めます。 「なくなるかどうか」の水掛け論から、「確認されていることは何か」へ話の足場を移します。
そして、その方の仕事に引きつけて具体化します。 「あなたの仕事のうち、どの部分が変わりそうで、どの部分は変わりにくいと思いますか」。漠然とした不安は、具体的に分けていくと、取り組める課題に姿を変えます。変わりうる部分が見えたなら、そこから学び直しの計画につなげる——ここからは、キャリア支援の本来の出番です。
出典:ILO(2026年7月8日発表)
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